リズと青い鳥を見た、という体験の感想

リズと青い鳥を見た。

(私は感想というものは監督、作者がどう思ってるかはおいておいて、作品を受け取った側が表現を吟味した結果としてその瞬間に思ったことを書き記す事が感想だと思っていて、今、自分が感じたものこそが現時点の感想であるという、ようするに誤読最高が感想を書く上での合言葉なので、この日の私にはリズと青い鳥という映画がこう見えたということでひとつ、そういう感想を味わったにんげんがいたんだなと思いながら読んだり読むのやめたりしてほしい)

※ネタバレしかないので未視聴の方はてきとうに注意してください。
※誤読最高
※シーンの順番とかはそのうち直します

開幕からずっと涙出てたのと、あと他人の声聞きたくなさすぎて劇場でcapsuleのstay with you聞きながらこの感想を書きはじめた。ithunesにアクセスしてこぼれ落ちる感想すらなんだかもったいなく感じたので余韻に近いこの曲をかけていた。

ほんとにずっと泣いてた。
なんなら冒頭のリズが青い鳥見つけるシーンからずっと泣いてた。周りにたくさん動物がいてもう食べさせるものがないのに、青い鳥が切り株に止まってるのを見つけてしまうシーンでなんかすでに泣いてた。誰にもあげられるものもう持ってないのに他にもっと大切なものを見つけた時みたいで辛くて意味がわからないが涙が出てきた。

本編始まった時の音楽室までの追いかけっこあたりまではみぞれに感情移入してたけど、絵本取り出すあたりからはずっとのぞみに感情移入してしまったのでなんかずっと泣いてた。
そんな感じでずっとそれこそエンドロール終わって映画館が明るくなったぐらいまでただただ泣いてたので、ちょっとなんと表現していいのかわからないけど好きなところを書く。

冒頭の階段座ってるシーンで、みぞれがちゃんとのぞみの足音も好きなのはわかった。みぞれの視界が狭いのが印象的だった。彼女は回想の視界も狭い。みぞれはのぞみとあった時ののぞみの表情もよく覚えていないのかなと思った。
瞳のハイライトが常に揺れているところとか、(吹奏楽においては)重要なはずの楽譜が強いハイライトで白く消えているのもみぞれの心境の暗喩みたいで心に残った。

音楽室まで歩くとシーンでのぞみが触ったところをなぞるよう触るみぞれが可愛い。彼女ウォータークーラーのボタンも触っているのでのぞみがしたように水に口付けて冷たい液体を飲んだのだろうなと思って間接キスみたいだなあと思ってそんなに好きなんだなあと思って理由はわからないが涙が出てきた。

パートごとに分かれるシーンなんかでも、最初の方は全体の中心にのぞみがいるように見せていて、回を重ねるごとにだんだんのぞみが、周囲の状況や会話から切り離されていって、心ここに在らずになっていく感じが良かった。

なんならフグを見せたかったと彼氏?(文脈からだと告白された? 人)に言われたとパートのメンバーが話していたシーンで、フグのことを可愛かったならいいじゃんと話しているけど、その時のデートに誘われた女の子とのぞみの心境の、すこしみぞれから離れていく感じが似てたのかなあって思ったり。
あとそういえば後半でみぞれがフグを見せたいだとか(餌をあげてほしいだったか)言ってた気がする。このバックグラウンドの会話も暗喩かなんかだったんだろうか…。

あと好きなシーン、フグに餌をあげるシーンでののぞみのフルートに反射した光がみぞれに反射していて、その光の動きがみぞれに触れているみたいでよかった。胸のあたりに触れたり肩の方まで移動したりしてて可愛い。
それをもし不快に思ったら嫌だなと思って席に戻ったのかと思うとやはり泣いた。

だいすきのハグかなんかのやつ、たぶんみぞれが言葉を出すまでのテンポと、のぞみがもう決断したと感じるテンポがずれていて、拒絶されたように感じたから言葉を嘘(冗談)にしてしまったんだろうけど、とてもよかった。

最後の方ののぞみが自分の思いをさらけ出すシーン、足の動きが少しずつ小さくなっていって怖がってるのかなとおもうととてもよかった。

のぞみがみぞれの背中に手を回そうとするシーンも、怯えながら手を回そうとした上に一瞬手が止まるのがよかった。自分を好きって言ってくれる子に触るの悪いことしてるみたいで怖いよね。

どういう気分になったら相手の話を聞きながら後ろで腕の関節を触るのかと考えるとなんか泣いてた。とにかく泣いてた。
今もなんか映画館を出て近くの駅の柱にもたれかかってずっとこの文章書いてる。感想をかきとめておかないと忘れそうで怖い。

リズと青い鳥を見てる間中、ずっとのぞみは怖くないのかなって考えてた。
怖くないのかなで映画から与えられた感情の7割を占めている。
だんだんとみぞれが自分の知っているみぞれの形から変わっていくということが心の中で実感としてあったとおもう。それについてかんがえるとむちゃくちゃ怖いんじゃないかなって。ずっとそればかり考えていて涙が勝手に流れていた。

別にのぞみは別にみぞれなか嫌がらせしてるとかじゃなくて、あれはなんだ、よくわからない言葉にしにくい感情を友達に対して抱いた時にそれは本当にあるのかとか相手はそのことをどう思っているのかとかほんとに大事にしてるのかとか、それはただしいのかとか、いいことなのかなとか、長期的に見ていいことなのかなとか、相手はどう思うのかとか、なんかいろいろ感じると思うんだけど、それの発露がこうああいった態度に現れてるのかと思うと、何でもかんでも言葉にするのはよくないんじゃないかなって思う。

最初に話しかけた時の事を覚えてないとのぞみは言っていたけれど、あれは嘘だとおもう、この子はというか、のぞみちゃんは作中でほんとのことなんかほとんどいってないんじゃないかな。
みぞれが思ってること言葉にしてないのと同じぐらい、ほんとに言いたいこと言えてないんじゃないかな。
それがどういう名前に分類される感情なのかわからないけど、大勢の人間でこういうものを描けるのってなんだかすごいな。

他に好きなシーン。
リズと青い鳥の絵本を見せるために隣に椅子を持っていく上にすぐそばまで椅子を引くのがすごい。間をあけないのがすごい、のぞみはみぞれに対してパーソナルスペース埋めてるんだから、それぐらい好きなんだなと胸に来た。

あとキャラクターの名前わからないけど夏祭りに行こうって言ったシーン、後から他の人を追加したのはみぞれが本当は嫌がっているのかもしれないとおもって怯えて他の二人も誘ったのかなと思ってしまった。

あと進路のこと聞かれた時にのぞみが足を引いていたので、これも怖がってというか怯えてというか、自信が無いとか、そんな感じの感情だったのかなとおもうとおもしろい。

あとなんだっけ…黄前ちゃんとその彼女がいちゃいちゃしてるようにしか見えなくて二人が出てくるたびになんの映画見てたんだっけって思ってました、このあと帰ってユーフォ二アム見ます。

あとなんだ…映画館で一個向こうの席の白髪のおじさんがいたんですが、後半鼻すすってたので泣いてんやろな…さすがやな…と思いました。
泣いてる中年はぼくだけじゃなかったないいぞ!

あと二人の距離が最後の方で縮まってたのでよかった。冒頭で一人分以上空いてた距離が縮まってるのほんと嬉しい。

先生がのぞみに指摘してたオーボエに語りかけるようにって君はみぞれに何もほんとのことを言っていないとかいう暗喩かなんかなんやろなと思って泣いた。

リズのことはずっとのぞみの事かなと思ってたので驚きはあまりなかったけど、のぞみの「みぞれは音大に行くんだよね」という言葉の出し方が、なんだかみぞれは自分の事をどう思っているのか試しているみたいでなんだか面白かった。

二人の進路が分かれることを進む方向で差異をつけるのもなんだかこのまま終わったら嫌だなって思ってたけど、作中でほとんどというか全く? みぞれに振り返らなかったのぞみが、最後の最後でみぞれを見るために振り返るのがもう最高だった。

プールに友達を誘いたいってみぞれが言い出した時ののぞみの心境も鳥かごから、自分からみぞれを出してあげないといけないと思うことを強める結果にしかなっていなかったのなら、のぞみもみぞれと同じぐらい辛い思いしてるだろうなあと思ったり。

あとカバン取りに行った時に、みぞれよりもはっきりとみぞれに話しかけた時のこと覚えてる(表情やためらうような指の動きまで)のぞみが、みぞれに初めて声かけた時のこと忘れてるわけないだろうとおもうので、あれはほんと本当のことを言えなかっただけなんだろうなと思ってやっぱり泣いてた。

のぞみから見たリズと青い鳥って、かわいいと思ってた子が本当は自分のこと好きじゃないんじゃないかって、本当は無理して合わせてくれてるだけなんじゃないかとか、本当は嫌がってるけど私がそういう(提案する、行動する)から頷いてくれてるだけなんじゃないかとかおもって、だんだん彼女のそばに自分がいるのは良くないんじゃないかとおもって拒絶してしまう話だよなあとかおもったり、それで、本当はものすごいみぞれの演奏を聴いてしまって、本当に自分が縛ってただけで、このまま好きでいられると飛べなくなってしまうから、嫌われないといけないんだとまで思ってあのクライマックスならほんとにほんとにつらいなと思いながら見てた。

ぼくの好きな映画の一つとしてリズと青い鳥をあげる勇気はないけれど(スプラッタ映画にリズと青い鳥を入れたらなんかおかしいというか申し訳ないし…、百合好きなのは伝わるだろうけど…)、今まで見た中で一番泣いたオススメの映画はって聞かれたらリズと青い鳥って返すし今もサントラ欲しくてしょうがないさっきから電車3本ぐらい逃してるのでそろそろ帰ろうとおもう。

ああ、いい映画だった。
そんなわけで上映中ずっと涙流しながらリズと青い鳥見てたのでとても面白かったし、CDが手元にないことが腹立たしいからBDとサントラ買います。


追記:サントラ、足音も入っててとてもよかった。凝ってるなあ…。


主題歌も買った。映画館行く前に買っておくべきだった。
ちなみにどっちもithunesでも売ってたのでどっちでもいいかも。


BD出たので予約した。楽しみ!